「名もなき子(水野梓)」☆無戸籍という人生があるということ

 

自分が無戸籍だったら・・・。

想像すらしたことのない問い。

想像すらすることのなかった人生に感謝し、想像すらしなかった自分を責める。

当たり前のことが当たり前じゃない。

そんな人生がすぐそばにある。

 

序章に掴まれ、終章に落ちる。

見えていた世界はくるりと違う顔を見せる。

それはあまりにも優しくて残酷だった。

 

黙って自分で抱えていたらダメなんだ。

自分さえ我慢したらなんて、そんなの違う。

話して欲しかったよね。

何も出来ないかもしれないけど、一緒に泣くことは出来るよ。

そしたら1本でも違う道に行けるかもしれない。自分も相手も。

1本でも道が変われば方向も変わる。少しずつでも。

かすかにでも光ある方向へ。

 

必要以上に声高にでなく問題提起した作者にリスペクト。

知らなかったことがある。

知りたくなかったことがある。

見ないフリをしてきたことがある。

それでも知ったのだったら。

何かひとつでも1ミリでも自分は何が出来るのかを考える。

考え始めるだけでもすごい一歩だ。

今日すれ違ったひとがそうかもしれないと想像することからでも。

私はブログを書いた。

そんなこと?って笑っていい。

笑ったあなたは何をするのか教えて欲しい。

 

【STORY】

テレビ局に在籍し、ドキュメンタリー番組の制作を手がける美貴。ある日、高齢者施設で不審死が相次いでいるとの週刊誌の記事が目に留まる。その後、主要メディアや官邸に犯行声明が届く。書面には「何も生み出さない高齢者は『社会悪』だ」などと書かれていた。取材を進める美貴は、偶然の出来事から悟と名乗る青年とかかわるようになる。悟の生きてきた道程を知った美貴は、この国が抱える深い闇の存在に強い衝撃を受ける----。