「タルトタタンの夢(近藤史恵)」☆ビターなコージーミステリ?

 

フレンチにはほとんど縁がない私です(居酒屋とか焼鳥の方が気が楽w)。

そんな私でも、名前も聞いたことのない・食べたことのない食材や料理の味がリアルに想像出来る。こんなビストロならぜひ行ってみたいと思う。

毎エピソード、次々に美味しそうな料理やスイーツが差し出されて、

気分だけはすっかりフレンチ通。

死体は出ないしw、軽いコージーミステリかと思ったら。

謎解きはしっかり本格。

表紙やタイトルからの想像とは少し違う、ちょっとビターな短編集。

いい意味で裏切られました。

コージーミステリと見せかけての、ちょっぴり多めのビターというスパイス。

かと思えば、急にせつない感情に泣きたくなったり。

 

特に「ロニョン・ド・ヴォーの決意」と「割り切れないチョコレート」がいい。

 

近藤史恵さん。

デビュー作の「凍える島」の雰囲気がすごく好きで、歌舞伎シリーズや「サクリファイス」シリーズも本当にお気に入り。また感想書きます。

どれも本格ミステリで文句の付けようがないし、骨太だけど、いい意味で女性ならではの意地の悪さ(褒めてます)とか(←でもイヤミスではない)

独特のビタークールな世界観がとても好きです。

もうひとり大好きな若竹七海さんと共通するとこがあるなーと。

 

この「ビストロ・パ・マル」シリーズ。

気に入った方は、第2弾「ヴァン・ショーをあなたに

(「錆びないスキレット」「氷姫」がせつない)、第3弾「カロンはマカロン」(「共犯のピエ・ド・コション」「ムッシュパピヨンに伝言を」が好き)もどうぞ( `ー´)ノ

 

【STORY】

カウンター七席、テーブル五つ。下町の片隅にある小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟は、フランスの田舎のオーベルジュやレストランを転々として修業してきた変人。無精髭を生やし、髪を後ろで束ねた無口なシェフの料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな彼が、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。常連の西田さんが体調を崩したわけは? フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか? 絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ!