「誰かがこの町で(佐野広実)」☆同調圧力の怖ろしさ

 

もう読んでいる間ずっと、じわじわじわじわ背中が寒くなるような感触、手が冷たくなるような感覚でした。

これノンフィクションだっけ?と何度か確認したくなるようなリアル。

いや、小説なんだけど。わかってるけど。

確かにここまでは普通はないよね?ってわかるけど。

でも、「ここまででは」なくても・・・こういうのって・・・なんかわかる気がするかも・・・と思わせられるところがまた怖い!

自分は絶対ないって、本当に自信持って何人が言えるでしょうか。

 

20年前に失踪した家族の娘だという女性が現れるところから動き出す現代。

そして過去の事件、複数の視点。交互に語られる物語。

その流れがうまいなあーと思った。無理がない。

文章もすごくうまい。この作家さん、チェックですね。

 

目次が、またそそるのです。

「第一章 それはどこにあるか」

「第二章 それはどんな場所か」

「第三章 それは誰のためのものか」

「第四章 それは何を引き起こしたか」

「終 章 それはどうなったのか」

いやーもう読む前からゾクゾクしますね!(私だけ?)

 

ノンフィクション「つけびの村(高橋ユキ)」とか海外ミステリ「くじ(シャーリイ・ジャクスン)」「鵜頭川村事件(櫛木理宇)」を思い出しました。

どれも怖かったねー( ;∀;)

 

これが小説の中だけであることを願います!

怖かったけど一気読みでした。

 

 

【STORY】

高級住宅街の恐ろしい秘密。住民たちが隠し続けてきた驚愕の真実とは? 人もうらやむ瀟洒な住宅街。その裏側は、忖度と同調圧力が渦巻いていた。 やがて誰も理由を知らない村八分が行われ、誰も指示していない犯罪が起きる。 外界から隔絶された町で、19年前に何が起きたのか。 いま日本中のあらゆる町で起きているかもしれない惨劇の根源を追うサスペンス! 江戸川乱歩賞受賞第一作。