「火車(宮部みゆき)」☆ラストシーンのせつなさよ

どれだけこの小説が好きって、私のミステリ人生オールタイムベスト3(とは?)に絶対入るよね!(その時々で入れ替わりあれど、これは別格、殿堂入りかな!)

ミステリとしての素晴らしさ、小説としての完成度、職人技の文章・・・一度読んだら読み返すことはあまりない私だけど、これも定期的に必ず読みたくなるよね。

で、毎回感動する。内容も犯人もわかってても、「うーん。す・ば・ら・し・い・・・」と唸ってしまいます。

 

読み始めたら一気読み必至!読み終わるまで寝れないからね。

カード破産に至るリアル過ぎる過程。借金は人を壊すね・・・人生変えるね。

この小説の凄さは、犯人当てもでもなく、びっくりトリックでもなく、女性の人生・・・を書いているところ。本当に最初は名もなき一人の女性の人生。それが、どうしてこんなことになってしまったのか。その人生に何が起こったのか。

普段は平凡でちょっと退屈な人生。でもそれが一つの出会いや何かと「たまたま」「偶然」交わってしまった時・・・誰も(犯人さえも)想像しえなかったことが始まってしまう。それをもう誰も止めることは出来ない。

怖いよ。ミステリ怖いよ。

だって、それは本当に今日の平凡な日常と紙一重の場所にあるのだから。

今日も「平凡で」「何も起こらなかった」一日に感謝してしまいます。

 

そして、ラストシーン。

一番最初に読んだ時は「え?ここで終わるの!?」「こんな終わり方?」と、ちょっとあっけに取られたのだけど、これ後から後からじわじわ来るんだよ。

なんだろう・・・余韻と、せつなさ?

(せつないって感情、大好き)

何度も読んでいて、このラストシーンがすごく好きなんだと気づいた。

情景が映画のように浮かんでしまうし、そこにまるで自分も存在しているかのような錯覚、周りのざわめきさえも聞こえて来る・・・。

本当に美しく、残酷で、せつな過ぎるラストシーン。

たまに泣く時もあるくらい。

みんな、幸せになりたかっただけなのに、ね・・・。

 

宮部みゆきさん、大好きです!

作品はたくさん読んでるけど、私はもうダントツで「火車」が好き。

また読みたくなって来たよ(自分で書いておいて自己完結する女)。

ちょっと買って来るわ!( `ー´)ノ

 

ちなみに、本は所有しないタイプ。ミニマリスト寄りだし。

どんな好きな本でも読んだら手放し(売る、譲る)、

また読みたくなったら買うって感じです!

 

ではまた☆

 

【STORY】

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。