「此の世の果ての殺人(荒木あかね)」☆そんな世界の終わり

世界の終わり、に自分はどうするだろう。 誰と、どんな風に過ごすだろう。 ずっとそんなことを考えながら読んでいた。 ラスト数十ページ、なんかずっとうるうるして。 読み終えて本を閉じた瞬間、涙がこぼれた。 どんな感情だったのかわからない。 でも、幸…

「事件は終わった(降田天)」あの日、あの時間、あの車両に乗らなければ

『十二月二十日、十九時二十一分。 都営地下鉄S線の横倉駅から、各駅停車日野原行きの電車が定刻どおりに発車した。 十両編成の車内は、一日の仕事や学業を終えた人々で、どの車両もそこそこに混雑している。 (中略) のちに〈地下鉄S線内無差別殺傷事件〉…

「蒼海館の殺人(阿津川辰海)」☆名探偵は〇〇〇だ!

全631ページ。約10時間。一気読み。 結論→めーっちゃ面白かった!達成感&満足感!(^^)! 前作『紅蓮館の殺人』も面白かったけど、今回はさらに良かった! 本読みでもちょっと「おっ」って感じの厚さですが(喜) 読み始めたらもう一気でした。 内容はも…

「リセット(五十嵐貴久)」☆レべチの純愛

最恐サイコ女リカシリーズ最新作((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル 相変わらずぶっ飛んでます(褒めてます)。 なんだかんだ言って結局読んでしまうのねー。 毎回読み切りっぽい感じなので、どれかだけ読んでも大丈夫。 時系列も行ったり来たりするし。 私はもちろ…

「君の顔では泣けない(君嶋彼方)」☆自分の、自分だけの人生

ミステリではない、と思う。 でも私にとっては、これもミステリだ。 とても、強い衝撃を、受けた。 入れ替わりの小説は、いくつか読んだと思う。 有名なとこでは映画「転校生」の原作『おれがあいつであいつがおれで(山中恒)』とか。最近では『君の名は(…

「金雀枝(えにしだ)荘の殺人(今邑彩)」☆見立て。密室。最高か。

グリム童話「おおかみと、七ひきの子やぎ」の見立て殺人が起こる。 『子やぎたちはびっくりして、かくれようとしました。一ぴきはテーブルの下に、二ひきめはベッドの中に、三びきめのはストーブの中に、四ひきめは台所に、五ひきめは戸だなの中に、六ぴきめ…

「聖女か悪女(真梨幸子)」☆イヤミス女王健在なり

真梨幸子さん、ホントイヤだ!w(褒めてる) イヤミス(イヤな気持ちになる)女王なのに、なぜか全部読んでしまう。 これって心理学的に何なんだろうね? 怖いもの見たさ、人間の(自分の)嫌な部分見たくないけど見ちゃうみたいな? 毎回これでもかってく…

「空飛ぶ馬(北村薫)」☆「日常の謎」は深い

「日常の謎ミステリ」。そのジャンルの中では一番好きかもしれない。 刺激や衝撃を求めるには「日常」は物足りない。 けれど退屈な代り映えのしない「日常」にある謎こそ滋味は深い。 生きてゆくすべてが謎であり、そこにリアルに生きているひとがいる。 そ…

「名もなき子(水野梓)」☆無戸籍という人生があるということ

自分が無戸籍だったら・・・。 想像すらしたことのない問い。 想像すらすることのなかった人生に感謝し、想像すらしなかった自分を責める。 当たり前のことが当たり前じゃない。 そんな人生がすぐそばにある。 序章に掴まれ、終章に落ちる。 見えていた世界…

「極刑(小倉日向)」☆自分のダークサイドの在りか

女子中学生の電車飛び込み自殺から始まるプロローグから衝撃的。 この人の小説はプロローグから目が離せなくなる。 子どもを持つ親としては、子どもが惨殺されるなんて小説の中であれ想像すらしたくないこと。 死刑や私刑や復讐について。 諦めること、受け…

「タルトタタンの夢(近藤史恵)」☆ビターなコージーミステリ?

フレンチにはほとんど縁がない私です(居酒屋とか焼鳥の方が気が楽w)。 そんな私でも、名前も聞いたことのない・食べたことのない食材や料理の味がリアルに想像出来る。こんなビストロならぜひ行ってみたいと思う。 毎エピソード、次々に美味しそうな料理…

「ヨルガオ殺人事件(アンソニー・ホロヴィッツ)」☆まただまされて喜ぶ

こちらは「カササギ殺人事件」の続編。 「カササギ~」の主人公である編集者スーザンが帰って来ました。 今回は元編集者だけど。 「ヨルガオ~」単体でも大丈夫ですが、出来ればやっぱり「カササギ~」から読むことをおすすめしておきます。 出た!今回も作…

「その裁きは死(アンソニー・ホロヴィッツ)」☆伏線回収の鮮やかさ

前作「メインテーマは殺人」のホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第2弾。 これ単体で読んでも全然大丈夫だけど、出来ればシリーズは順番に読む方が何倍も楽しめると思います。 またもやられましたーー!(歓喜の舞) もうホロヴィッツ氏・・・あなたというひ…

「メインテーマは殺人(アンソニー・ホロヴィッツ)」☆フェアが過ぎる

「カササギ殺人事件」ですっかりホロヴィッツ推しになった天むすです。 期待度MAXでお待ちしてました第2弾! こんだけハードル上げてたのに、さすがホロヴィッツは推しを裏切りません。 今回もプロローグからクラシック感満載です。 もうたまらん!(;´Д`)…

「カササギ殺人事件(アンソニー・ホロヴィッツ)」☆最新にしてクラシック

出版直後くらいに読んだけど、まあ狂喜乱舞しましたね。 王道も王道。フェアもフェア。 最新なのに古典名作の匂いしかない。古典にしてスタイリッシュ。 最新にしてクラシック。 なんだこれー!すごい本なんじゃないか。 作中作という構造。名探偵登場(ワク…

「兇人邸の殺人(今村昌弘)」☆覚めない悪夢、でも覚めても悪夢

あの超問題話題作「屍人荘の殺人」シリーズ第三弾です。 「屍人荘~」のあの未だかつてなかった特殊クローズドサークル(まだネタバレダメなのよね?あの3文字w)、話題が凄かったけど中身もしっかり本格ミステリでした。 第二弾「魔眼の匣の殺人」もいや…

「誰かがこの町で(佐野広実)」☆同調圧力の怖ろしさ

もう読んでいる間ずっと、じわじわじわじわ背中が寒くなるような感触、手が冷たくなるような感覚でした。 これノンフィクションだっけ?と何度か確認したくなるようなリアル。 いや、小説なんだけど。わかってるけど。 確かにここまでは普通はないよね?って…

「優等生は探偵に向かない(ホリー・ジャクソン)」☆JKのまっすぐな瞳と正義に打たれる

最初から注意ですが、必ず「自由研究には向かない殺人」から読んでくださいね! なぜかと言うと、この「優等生は探偵に向かない」は「自由研究~」の続編であり、第2部のような扱いになっているから。「優等生~」の前半で「自由研究~」のあらすじというか…

「火車(宮部みゆき)」☆ラストシーンのせつなさよ

どれだけこの小説が好きって、私のミステリ人生オールタイムベスト3(とは?)に絶対入るよね!(その時々で入れ替わりあれど、これは別格、殿堂入りかな!) ミステリとしての素晴らしさ、小説としての完成度、職人技の文章・・・一度読んだら読み返すこと…

「十角館の殺人(綾辻行人)」☆歴史に残るあの一行の衝撃

ミステリを語るなら、この本から始めるのが道理ってものですよね! 何を隠そう(隠したら意味ない)『新本格ミステリはここから始まった!』で有名なアレですよ。ちなみに「本格ミステリ」って言葉が大好き。猫にマタタビくらい好き。 あと好きな言葉は「探…

このブログについて☆ご挨拶します

はじめまして!アンニョン!こんばんは! 『隣の部屋の天むすに聞きたい「ミステリ明日何読もう?」』を書いている天むすと申します。 半世紀以上、物心ついた頃からたくさん本を読んできた。 商売をしていた家庭だったので、子守りがてら本をたくさん与えら…